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FRBの資産は毎週木曜に分かる|H.4.1の読み方と短期国債の急増

マーケット分析公開:2026年10月22日文:マネーの羅針盤 編集部
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本記事はマネーの羅針盤 編集部が執筆した一般的な情報提供です。米連邦準備制度(FRB)と日本銀行の公表資料の内容を整理したもので、相場の予想や特定の取引・商品の勧誘ではありません。FXは差金決済取引であり、為替変動やレバレッジにより元本を超える損失が生じるおそれがあります。

米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度)が、どれだけの資産を持ち、どんな負債で資金を出しているかは、毎週木曜に公表される統計「H.4.1」で確かめられます。2026年10月15日公表分(10月14日までの1週間の平均)では、FRBが供給している信用の合計「Reserve Bank credit」が6兆7,077億ドルで、1年前より1,621億ドル多くなりました。目立つのは短期国債(Bills)で、5,655億ドルと1年で3,700億ドル増えています。一方、住宅ローン担保証券(MBS)は1,879億ドル減りました。日本銀行のマネタリーベースが前年比15.2%減っているのとは、動きの向きがかなり違います。

白い長机と黒い椅子が並ぶ、窓の大きな無人の会議室の写真
FRBの資産と負債は、毎週同じ表の形で公表される

H.4.1とは何か、いつ公表されるのか?

H.4.1の正式名称は「Factors Affecting Reserve Balances of Depository Institutions and Condition Statement of Federal Reserve Banks」です。直訳すると「預金取扱機関の準備預金残高に影響する要因と、連邦準備銀行の財務状況」で、FRBの貸借対照表(バランスシート)を週ごとに切り出した統計と考えると分かりやすいでしょう。公表は原則として毎週木曜の米東部時間16時30分で、FRBのウェブサイトの「Statistical Releases」に掲載されます。

日本時間に直すと、米国が夏時間の期間は金曜の5時30分、冬時間の期間は金曜の6時30分です。2026年の夏時間は11月1日(日)に終わるため、10月29日(木)公表分までは5時30分、11月5日(木)公表分からは6時30分になります。東京市場が開く前に数字が出そろう形です。

表には2種類の数字が並びます。1つは水曜日までの1週間の「日々の残高の平均(Averages of daily figures)」、もう1つは水曜日時点の残高(Wednesday)です。10月15日公表分なら、10月8日から14日までの平均と、10月14日(水)の残高が載っています。週の途中の出入りをならして傾向を見るなら平均、ある日の断面を見るなら水曜日の値、と使い分けます。

2026年10月14日時点で、FRBは何をどれだけ持っているのか?

資産の側を、週平均の値で抜き出しました。単位はFRBの表と同じ100万ドルで、右の2列は前週比と前年比(2025年10月15日の週との比較)です。

FRBの主な資産(週平均、100万ドル/H.4.1 2026年10月15日公表分から編集部が作成)
項目10月14日の週前週比前年比
Reserve Bank credit(信用供給の合計)6,707,650+11,680+162,126
保有証券の合計6,470,368+5,040+185,272
うち米国債4,569,911+5,019+373,157
 短期国債(Bills)565,492+4,725+369,999
 中長期国債(名目)3,617,9610+38,970
 物価連動国債279,9650−30,207
住宅ローン担保証券(MBS)1,898,110+21−187,885
貸出(Loans)11,350+3,606+5,148

6,707,650百万ドルは、約6兆7,077億ドルです。そのうち保有証券が6兆4,704億ドルで、資産のほとんどは国債とMBSでできています。米国債の4兆5,699億ドルを中身で分けると、満期まで長い中長期国債が3兆6,180億ドル、満期が1年以内の短期国債が5,655億ドルです。

1年で増えたもの、減ったものは何か?

前年比の列を見ると、資産の中身の入れ替わりがはっきり出ています。短期国債は1年前の約1,955億ドルから5,655億ドルへ、およそ2.9倍になりました。増えた額は3,700億ドルで、保有証券全体の増加額1,853億ドルの2倍に当たります。

反対に、MBSは1,879億ドル減りました。物価連動国債も302億ドル減っています。中長期国債(名目)は390億ドルの増加にとどまり、前週からは動いていません。MBSなどが減った分を上回る額の短期国債が積み上がり、保有証券の合計は1年で約2.9%増えた、という形です。

どの資産をどれだけ買うか、満期を迎えた分をどう扱うかは、FOMC(連邦公開市場委員会)の決定と、ニューヨーク連銀が公表する実施要領で決まります。H.4.1はその結果を数字で示す統計なので、増減の理由まで知りたいときは、FOMCの声明とあわせて読むのが確実です。

ガラス張りの個室が並ぶオフィスの廊下の写真
資産の合計より先に、中身の入れ替わりを見る

負債の側では、お金はどこにあるのか?

FRBが資産を買うと、その代金は負債の側のどこかに現れます。H.4.1では、銀行がFRBに預けている「準備預金(Reserve balances)」、世の中に出回っている「流通現金(Currency in circulation)」、米財務省がFRBに置いている口座「TGA(Treasury General Account)」、FRBが資金を吸収する「リバースレポ」が主な行き先です。

FRBの主な負債など(週平均、100万ドル/H.4.1 2026年10月15日公表分から編集部が作成)
項目10月14日の週前週比前年比
準備預金3,022,140−7,519+3,112
流通現金2,488,264+4,443+69,989
TGA(財務省の口座)883,373+3,120+73,780
リバースレポ332,191+2,665−21,783

準備預金は約3兆221億ドルで、1年前とほとんど同じ水準です。資産が1,621億ドル増えたのに準備預金がほぼ横ばいなのは、流通現金が約700億ドル、TGAが約738億ドル増えて、その分を吸い込んだためと読めます。TGAは国債の発行や税収で大きく動くので、準備預金を見るときは、TGAの増減を一緒に確かめておくと読み違えが減ると言われています。

日本銀行のマネタリーベースと並べると、何が見えるのか?

日本銀行は、日本銀行券の発行高、貨幣の流通高、日銀当座預金を足した「マネタリーベース」を毎月公表しています。2026年10月2日公表の9月分は、平均残高が532兆8,464億円で前年比15.2%の減少でした。うち日銀当座預金は413兆6,678億円で18.3%減っています。7〜9月期の前年比は14.9%減で、2025年から減少が続いています。

FRBと日本銀行の「お金の量」の前年比(各中銀の公表資料から編集部が計算)
中央銀行見ている数字前年比
FRBReserve Bank credit(2026年10月14日の週)+2.5%
FRB準備預金(同)+0.1%
日本銀行マネタリーベース(2026年9月平均)−15.2%
日本銀行日銀当座預金(同)−18.3%

FRBの前年比は、H.4.1の「前年比」の列から1年前の値を逆算して出しました。FRBの資産の合計が小幅に増え、銀行の預け金も横ばいなのに対し、日本銀行は当座預金が2割近く減っています。ただし、FRBの数字は資産の側、日本銀行のマネタリーベースは負債の側の集計で、定義はそろっていません。比べられるのは「増えているか、減っているか」という向きまでで、数字の大きさを直接比べることはできません。

夜の街並みに明かりがともる高台からの写真
日米で、中央銀行の資金の動きの向きは逆になっている

FXでドル円を見るとき、H.4.1はどう役に立つのか?

為替相場を動かす材料としては、政策金利や物価の統計のほうが注目されやすく、H.4.1が出た直後に相場が大きく動くことは多くありません。それでも、中央銀行が市場にどれだけ資金を出しているかは、金利や資金の流れの背景になります。日米の中央銀行の資産が逆の向きに動いていること自体が、両国の金融政策の局面の違いを映しています。

確かめる手順は3つです。まず、毎週木曜のH.4.1で「Reserve Bank credit」の前年比を見ます。次は短期国債とMBSの行で、中身の入れ替わりの確認です。最後に、準備預金とTGAを並べ、資金が銀行に残っているのか財務省の口座に移ったのかを見ます。毎月第2営業日に出る日本銀行のマネタリーベースと並べれば、日米の向きの違いを1つの表で追えるはずです。

政策金利の決定は9月の日米欧英の中銀|利上げ3つと据え置き1つを表で比べるで、日本銀行の物価の見方は日銀の基調インフレ3指標|刈込平均値・加重中央値・最頻値の違いと2%との距離で扱っています。

積み重なった紙の束の角を間近から写した写真
週ごとの表を並べていくと、向きの変化が見えてくる

H.4.1に関するよくある質問

H.4.1は日本時間の何時に出ますか?
米東部時間の木曜16時30分の公表なので、米国の夏時間中は日本時間の金曜5時30分、冬時間中は金曜6時30分です。2026年は11月1日に夏時間が終わります。
週平均と水曜日の値は、どちらを見ればよいですか?
傾向を見るなら週平均、ある日の断面を見るなら水曜日の値です。TGAのように日々大きく動く項目は、2つの値の差が大きくなることがあります。
短期国債が増えると何が変わりますか?
保有証券の満期が短くなります。2026年10月14日の週では、短期国債が5,655億ドルと1年で3,700億ドル増えた一方、MBSは1,879億ドル減りました。買い入れの方針はFOMCの声明で確かめます。
日本銀行のマネタリーベースと同じものですか?
同じではありません。マネタリーベースは日本銀行券・貨幣・日銀当座預金を足した負債の側の数字で、H.4.1の資産の合計とは定義が違います。比べるときは増減の向きにとどめます。

数字の出どころはFRB「Factors Affecting Reserve Balances - H.4.1」(2026年10月15日公表)、日本銀行「マネタリーベース」(2026年9月分、10月2日公表)です。

羅
マネーの羅針盤 編集部
FX・投資情報ブログ「マネーの羅針盤」編集部。公的統計と各社公式資料の一次情報にあたり、初心者がつまずく論点を事実ベースで整理して発信しています。