4つの中央銀行は9月に何を決めたのか?
結論を一覧にすると次の表になります。政策金利の名前も決め方も中銀ごとに違うため、「何の金利を」「いつから」動かしたのかを列で分けました。
| 中銀 | 決定・公表日 | 対象の金利 | 決定後の水準 | 変更幅 | 票決 |
|---|---|---|---|---|---|
| ECB(ユーロ圏) | 9月10日 | 預金ファシリティ金利 | 2.50%(9月16日適用) | +0.25% | 公表なし |
| FRB(米国) | 9月16日 | FF金利の誘導目標 | 3.75〜4.00% | +0.25% | 12対0 |
| 英中銀(英国) | 9月17日 | バンクレート | 3.75% | 据え置き | 6対3 |
| 日本銀行 | 9月18日 | 無担保コール翌日物の誘導目標 | 1.25%程度(9月24日適用) | +0.25% | 7対2 |
表の「票決」の列は、決定が全員一致だったのか、反対票が出たのかを示します。ECBは理事会の票数を公表しない運営のため「公表なし」としました。変更幅だけを見れば「3勝1分け」のように同じ方向を向いていますが、票の割れ方まで見ると、4つの中銀の迷い方はそれぞれ違います。

FRBとECBはどれくらい引き上げたのか?
FRBの連邦公開市場委員会(FOMC)は9月15〜16日に開かれ、FF金利の誘導目標を0.25%引き上げて3.75〜4.00%としました。声明は12対0の全会一致で承認されています。声明文は「Inflation remains elevated(インフレは高止まりしている)」と書き、今回の措置が2%目標へのより早い回帰を後押しするとしました。
ECBは9月10日の理事会で3つの政策金利をそろって0.25%引き上げ、9月16日から適用しました。ECBの政策金利一覧によると、預金ファシリティ金利は2.25%から2.50%へ、主要リファイナンス・オペ金利は2.40%から2.65%へ、限界貸出ファシリティ金利は2.65%から2.90%へ変わっています。前回の引き上げは6月17日適用分で、2025年6月11日から約1年続いた2.00%の水準から、3か月で0.50%戻したことになります。
ECBには金利が3つあり、ニュースで「ECBの政策金利」と言うときは、現在は預金ファシリティ金利を指すのが一般的です。ECB自身が2024年3月に、この金利で政策スタンスを示すと説明しています。
英中銀はなぜ据え置いたのに票が割れたのか?
英中銀の金融政策委員会(MPC)は9月16日までの会合でバンクレートを3.75%に据え置き、9月17日に公表しました。票決は6対3で、3人は0.25%引き上げて4.00%にすべきだと主張しています。
要旨が理由に挙げたのは、中東での紛争が長引いたことによるエネルギー価格の上昇です。英国の消費者物価上昇率は8月に3.1%へ高まり、議事要旨によれば7月の金融政策報告の時点と比べて北海ブレント原油は36%、英国の卸売ガス価格は78%上昇しました。9月14日の終値でブレントは1バレル106ドルです。委員会はインフレ見通しのリスクが「上方に傾いている」と判断しつつ、今回は据え置きが適切としました。

同じ会合で、英中銀は国債の保有残高をゼロまで減らす計画も全会一致で決めています。2034年末までに年平均460億ポンドのペースで減らし、そのうち売却は年200億ポンドです。金利を据え置いた一方で、資産の縮小は長期の工程表を示しました。
日銀の1.25%は決定日からではない?
日銀は9月17〜18日の金融政策決定会合で、無担保コールレート(オーバーナイト物)の誘導目標を1.0%程度から1.25%程度へ引き上げました。票決は賛成7・反対2です。前回の7月31日の決定は1.0%程度の維持で、賛成8・反対1でした。
見落としやすいのが適用日です。公表文の注記では、新しい方針は「翌営業日(9月24日)から適用」とされています。9月19日から23日までは土日と祝日が続いたため、決定から適用まで6日空きました。あわせて、日銀当座預金につく金利(補完当座預金制度の適用利率)は1.25%、基準貸付利率は1.5%に変わっています。
反対した2人の理由も公表文に書かれています。浅田委員は、足もとの消費者物価(除く生鮮食品)の上昇率が2%を下回り、経済も必ずしも強いとはいえないとして据え置きを主張しました。佐藤委員は、経済・物価情勢が現時点でこれまでより大きく加速しているわけではなく、このタイミングでの利上げは適切ではないとしています。
次の会合はいつか?
9月の結論が次にどう動くかは、10月下旬から11月初めに集中する会合で分かります。各中銀の公式日程は次のとおりです。
| 中銀 | 次回会合 | 備考 |
|---|---|---|
| FRB | 10月27〜28日 | 9月会合の議事要旨(会合の約3週間後) |
| ECB | 10月28〜29日 | 9月30日の理事会は金融政策を扱わない回 |
| 日本銀行 | 10月29〜30日(展望レポートあり) | 9月会合の「主な意見」10月1日 |
| 英中銀 | 11月5日発表 | 11月は金融政策報告と同時公表 |

10月27日から11月5日までの10日間に、4つの中銀の結論がまた並ぶ日程です。日銀の議事要旨は次の会合の後に出るため、9月会合の議論の中身を早く知るには10月1日の「主な意見」が手がかりになります。
金利差を読むときの3つの注意点
政策金利を並べると、FXの金利差を計算したくなります。比べる前に、次の3点を確認しておくと読み違いを防げます。
- 同じ種類の金利を比べる。FRBは幅(3.75〜4.00%)、日銀は「程度」、ECBは3つの金利を持っています。ECBなら預金ファシリティ金利を使う、と決めてから比べます
- 適用日をそろえる。ECBは決定の6日後、日銀は決定の6日後に適用されました。9月20日時点の日銀の誘導目標はまだ1.0%程度です
- 政策金利とスワップポイントは別物。FX会社が付与するスワップポイントは市場の短期金利や各社の条件で決まり、政策金利差と一致するとは限りません
米国の3.75〜4.00%と日本の1.25%程度を単純に比べると差は約2.5〜2.75%ですが、これは政策金利の水準の差であり、為替相場の方向を示すものではありません。金利差の変化が為替に与える影響は、各国の物価や景気の見通しとあわせて見る必要があります。
9月の中銀の決定に関するよくある質問
2026年9月に利上げした中央銀行はどこですか?
日銀の1.25%はいつから適用されましたか?
英中銀の据え置きはなぜ6対3に割れたのですか?
次の会合はいつですか?
同じ「利上げ」でも中身は4通り
2026年9月は、FRBが全会一致、ECBが6月に続く引き上げ、日銀が反対2票を抱えた引き上げ、英中銀が利上げ3票を抱えた据え置きでした。変更幅は3つとも0.25%でも、票の割れ方と理由を読むと、次の一手への距離はそれぞれ違います。
数字の出どころはFRBの9月16日声明、ECBの政策金利一覧、英中銀の9月要旨と議事要旨、日銀の9月18日公表文で、どれも無料で読めます。金利以外の物差しで円の立ち位置を見る方法は実効為替レートとは?円の実力を測る3手順、取引の基礎はFXとは?初心者が知っておくべき外国為替取引の基本と始め方で扱っています。
